【Study】収納づくりもコストを左右する大きな要因
前回お伝えさせていただいたように、
家は出来るだけミニマムにつくるようにすべきです。
その最も大きな理由は、
もちろん『コスト』なのですが、
今回お伝えさせていただく『収納』もまた
いたずらにコストを押し上げてしまう大きな要因となります。
“家を建てるなら、収納はたくさんつくりたい・・”
家を建てる誰もが、間違いなく
このようにお考えになるでしょう。
今暮らしているアパートの収納では、
全てがおさまりきらず、
部屋に溢れてしまっているでしょうしね・・・
そして、予算が許す限り
出来るだけ多くの収納をつくりたいとお考えになります。
しかし、いざプランが出来上がってみると、
“あれっ?これだけじゃ足りないんじゃないか?”
と感じてしまいます。
これは、収納の量を、
『床面積』で判断してしまっているからなのですが、
プリントアウトされた間取図をずっと眺めるということは、
イコールひたすら上から家を眺めるということであるため、
どうしても床の広さだけで収納の多い少ないを
判断してしまうんですよね。
そして、どんどん収納の分量を増やしていってしまいます。
結果、『床面積』がどんどん大きくなり、
それに連動して家のコストが膨れ上がっていってしまう・・・
というわけです。
このように、収納を『床面積』で判断してしまうと、
それに連動してコストが上がってしまうことになるのですが、
しかし、それに比例して、
より多くのモノが置けるようになるわけではありません。
ましてや、動線をより短くし利便性を高めるために、
『通り抜け動線』にされる方がいらっしゃいますが、
通り抜けることが出来るということは、
イコール『廊下』がそこに出来るということであり、
そのスペースを収納として使えなくなるため、
床面積とコストは増えたものの、
収納量は増えないどころか減ってしまう・・・
なんてことになってしまうんですよね。
では、どうすればいいのか?
ということになりますが、
この答えは至って簡単で、
収納は『壁面積』で考えるということです。
つまり、いかに壁を上手く使ったか?
ということが収納量を大きく左右する要因となるわけですね。
例えば、一般的に天井高は2m40cmありますが、
この高さの中に、
棚板を2枚しかつけないのと5枚つけたのでは、
単純に置ける場所が2倍違ってくることになります。
2枚の場合、3段の収納になるのに対し、
5枚の場合、6段の収納になるからです。
また、リビングダイニングキッチンの周辺に置くものは、
細々したモノばかりだと思いますが、
これらを管理しやすくしようと思えば、
奥行きの深い収納をつくるより、
奥行きが浅い収納をつくるようにすべきです。
そして、奥行きを半分にし、横幅を2倍にすれば、
全く同じ床面積のまま、
つまりコストは全く同じのままで
収納量を4倍にまで増やすことが出来る
というわけなんですよね。
また、そもそも家の壁の量を多くすることも大切です。
つまり、必要がない窓はなくすようにすべきである、
ということですね。
家の壁が多くなれば、収納として利用出来る壁が増えます。
また、それだけじゃなく、
壁が多くなった分、耐震性も高くなるし、
窓よりも壁が増えた分、断熱性も気密性も高くなります。
このように壁を上手く使うことを前提とした
収納づくりをすることが出来れば、
家のコストを上げることなく、
収納がたっぷりあるお家をつくることが出来るだけじゃなく、
耐震性にも省エネ性にも優れたお家を
つくることが出来るようになります。
ということで、
間取図をずっと眺めて、
無駄に床面積を増やしてしまわないように
気を付けていただければと思います。