【Study】日当たりが良い南道路を買わなかったのか?
家の間取りは、予算を含む要望だけでつくるものではなく、
その土地がどんな環境であるかに大きな影響を受けます。
また、間取りと同じように家の外観も、
その土地がどんな環境であるかに大きな影響を受けます。
本当に暮らしやすい家をつくるためには、
周囲の状況は、切っても切り離せないものだからです。
例えば、先日お引渡をさせていただいたF様は、
土地から買って家づくりをされたのですが、
F様が家を建てられた土地は、
この図の中の売地Cでした。
日当たりが良さそうであるがゆえに、
明るくて気持ちいい家が建てられそうなAやBではなく・・
この立地条件で注目すべきなのは、
南側にある道路の南に建っているのが、
ワンルームマンションであるということです。
このマンションは3階建てで、
かつ各階8戸ずつ、計24戸の部屋があるのですが、
通路と玄関面が北側にあるため、
AやBの土地は、このマンションに住む全ての人から、
ダイレクトで見えてしまうことになります。
となれば、せっかく南向きに大きな窓をつくったとしても、
カーテンが全く開けられなくなってしまいますよね?
そして、家の中に思っている以上に光が入ってこなくなり、
日中ずっと薄暗い家になってしまうんですよね・・・
開放感が感じられない閉鎖的な家になってしまうんですよね・・・
それゆえ、F様はAやBの土地ではなく、
あえて、もともとマンションからの視線が遮られている
Cの土地を率先して購入されたのでした。
その結果、学校までの距離や環境は全く同じであるのに、
AやBの土地よりも250万円も安く土地を買うことが出来ました。
つまり、住宅ローンにかかる金利も含めると
300万円もの予算がカット出来たということになるんですよね。
とはいえ、Cの土地の場合、
誰もが頭によぎることは、
“日が当たらないんじゃないか?”
ということですよね?
どんな土地でも家の中に光は届けられる?
実際は窓を通して太陽の光がたっぷりと家の中に射し込んできています。
たとえ、真南にそれほど距離を空けずして、
普通の2階建てが建っているとしても、です。
この秘密は、設計の中に存在します。
Cの土地で家を建てる場合、
リビングを敷地の一番南に配置しても、
リビングに充分な光を届けることは出来ません。
また、南からの採光が難しいからと、
道路面である東に大きな窓をつくってしまうと、
道路を挟んだ向かいのお家の方や、
その道路を通る人たちから、
家の中が丸見えになってしまうため、
結局カーテンを閉じた状態の薄暗い家になってしまいます。
それゆえ、明るさとプライバシーを同時に実現するために、
リビングの配置を工夫させていただいたというわけです。
F様宅のリビングの窓は、
南に建っているお家から、
約5.5mほど距離が空いた場所に配置させていただいています。
太陽高度が低くなる冬でも、
南からの光をリビングの中に採り込みやすくするためです。
また、それに加えて、
リビングには吹抜けをつくらせていただき、
吹抜けにも、たっぷりと光が採れる窓を
設置させていただきました。
より高い位置にある2階から、
1階に光を落とすようにすることにより、
より安定的にリビングに光を届けるようにするためです。
このように、土地が持つ環境に合わせて、
間取りを工夫することが出来れば、
ただ明るいだけじゃなく、
同時にプライバシー性にも優れた
住み心地の良い住まいをつくることが出来ます。
しかも、これはF様のお家の正面なのですが、
全く間取りが分からないと思いませんか?
ファミリー向けのマンションに比べて、
人の入れ替わりが激しい単身用マンションなので、
防犯や治安面にも配慮すべきですからね。
このように間取りや外観は、
その土地の環境に合わせて考えることで、
メリットを活かしつつ、
デメリットを解消出来るものでなくてはなりません。
本当に住みやすい住まいをつくるためにです。
ということで、
家の間取りだけを切ってとって考えるのではなく、
間取りは土地の環境を配慮した上で、
考えなければいけないということを、
ご理解いただければと思います。